今回はチャートを使ったテクニカル分析の中でも最も基本的な、トレンドラインの見方についてお話をします。
トレンドラインはその使い方によっては、大きな威力を発揮してプロ顔負けの分析ができます。しかもチャートの上に簡単なラインを引くだけなので、とても簡単です。実際のドル円チャートを使って分析の仕方を解説しましょう。

 

ドル円日足をトレンドラインで読む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年のドル円日足ですが、このように実にはっきりとトレンドが現れています。
トレンドラインの引き方は簡単で、下げのトレンドには上方に(レジスタンスラインといいます)、上げのトレンドには下方に(サポートラインと呼びます)動きに沿って線を引きます。
つまり、下げ相場では戻りが抑えられ、上げ相場では落ちてきたところは支えられるので、チャートのような形になります。これは図を見たらよくわかると思います。

これだけの作業ですが、どのような相場の理論よりもはっきりと現実の為替の動きがわかりやすかったりします。これで見ると年初から3月までは円高、4月からは円安になっています。特に3/22日(黒丸)はアメリカの対中制裁が発表されたので円高のピークになっています。日本も無関係ではないのでさらに円高が進むという予想が大勢を占めました。
しかし、その直後に大きな陽線を出して上昇トレンドに変わっています。(赤マルが買いシグナル)

このように、理屈で予想するよりもチャートでトレンドの動きを見たほうがはるかに為替の動きが予想できる場合も多いのです。

ドル円週足

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1が日銀による追加の金融緩和(2014年 10/30)
2は国民投票によるイギリスのユーロ離脱
3はトランプ大統領当選
4はトランプ大統領の貿易不均衡是正宣言です。

それぞれ重要な政治的なイベントに合わせてトレンドが変化しているのがわかると思います。このように、トレンドをはっきりとわかりやすく理解するためにも、トレンドラインは引いてみる価値があります。

ドル円月足

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後にドル円の月足ですが、大きな傾向が見て取れると思います。
リーマンショック後、2009年から円高が始まり東北大震災直後の2011年は80円を切る超円高。

2012年後半からアベノミクスが始まり120円台まで円安が進みます。2016年からまた円高になっていますが、強弱感は対立しています。この大きな三角形は持ち合いの典型的な形です。現在の相場はこのような調整局面の延長にあるといえます。
トランプ大統領がひとりで相場を作っているわけでないのは、2016年から円高が始まっていることからもわかります。

このようにトレンドラインを使った分析をすると、はっきりと相場の流れがつかめるので、時間があるときは自分でラインを引いてみてください。今まで気付かなかった新しい発見があるかもしれません。とても簡単ですが、時にはどんな経済理論や予測法よりも強力な分析ツールになります。